有責配偶者から離婚請求とは

 

こんにちは!


かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!


本日は有責配偶者から離婚請求です。


民法770条5号でいう「婚姻を継続し難い重大な事由」とのみを規定しています。このため、離婚請求者の責任の有無や離婚の結果について何ら述べられていません。このため、有責配偶者からの離婚請求が認められるのかが争われるのかが問題となっています。

 


昭和27年の最高裁判例では、こうした請求が認められることになると「俗にいう踏んだり蹴たりである。法はかくの如き不徳義勝手気保を許すものではな立りけっきままい」と述べて、離婚請求を棄却した原審判決を支持しています。(最判昭27 [1952] -2-19民集6巻2号110頁)。

しかしながら、昭和62年の最高裁判例では、婚姻が「夫婦としての共同生活の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至った場合には、…戸籍上だけの婚姻を存続させることは、かえって不自然である」といえるが、「離婚は社会的、法的秩序としての婚姻を廃絶するものであるから、離婚請求は、正義・公平の観念、社会的倫理観に反するものであってはならないことは当然であって」、離婚請求は「信義誠実の原則に照らしても容認されうるものであることを要する」と述べ、当該請求が、信義知に反するかどうかの考慮要素を詳細に述べた後で、①夫婦の別居か四日事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間に及び、②その間に未成熟子が存在しない場合には、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会*経済的にきわめて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできないとされています。


すなわち、破綻主義をおしすすめ、相手方に配慮する形で有責配偶者からの離婚請求を認めています。同様の裁判例として、東京高判平19 [2007] -2-27判タ1253号235頁、高松高判平22 [2010]・11-26判タ1370号199もあります。


従前から、有責性が同種程度ある事案や、相手方にも破綻原因が大きくあること等も事案では有責配偶者からの離婚請求が認められることがありました。また相手方の同意がある場合には離婚条件が整えば認められるということです。つまり、相手方の同意を引き出す交渉が重要となります。


また、有責配偶者からの離婚請求は個人的には判例
のいわゆる3つの要素は条件ではないと思っていますが、このあたりはどこかでお話させていただければとおもいます!

 

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