★婚姻関係破綻の抗弁について

こんにちは!

 

かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です^_^

 

 

★婚姻関係破綻の抗弁は、以下の判例に依拠しています。すなわち、従来の最高裁昭和 54 年判决では、不貞行為による被侵害利益が「夫又は妻としての権利」 であるとされていました。ところが、本判决では、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は 法的保護に値する利益」とされることになりました。

 

この裁判所の考え方については諸説ありますが、

「婚姻共同生活の平和の維持」を保護法益を侵害した場合に限定しています。すなわち、最高裁昭和 54 年判決の射程を婚姻関係破綻前に限定したとされています。ただこの婚姻関係の破綻の抗弁はそう簡単に認められるわけではありません。お困りの方はかがりび綜合法律事務所までご相談ください!

最判平成 8 年 3 月 26 日(民集 23 巻 10 号 1896 頁) 〔事実の概要〕

甲女と乙男は昭和 42 年に婚姻した夫婦であり、二人の間には 2 人の子(丁 ・ 戊)がいる。

甲と乙は、性格の相違や金銭問題などが原因で次第に不仲となり、乙の仕事上の問題をきっ かけに仲が更に険悪になった。乙は昭和 61 年に、家庭裁判所に別居する目的で夫婦関係 調整の調停を申し立てたが、甲が出頭しなかったため、取り下げとなった。その翌年、乙 は病気のため入院したが、退院後、別途に購入したマンションに転居し、甲と別居するよ うになった。他方、丙は昭和 62 年に、働いていたスナックで乙と知り合い、乙が妻と離 婚することになっていると聞き、乙と交際するようになり、同年乙のマンションで同棲す るようになった。そして、平成元年に丙は乙の子己を出産し、乙は己を認知した。そこで 甲は、丙に対して慰謝料を請求したが、1 審、原審とも棄却され、上告した。
〔判 旨〕
「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がそ の当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任 を負わないものと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対 する不法行為となるのは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護 に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既 に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益が あるとはいえないからである。」