枕営業の裁判例についての私見

 

こんにちは!

 

かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!

 

少し前ですが、東京地裁平成 26 年 4 月 14 日判決の裁判例ですが、クラブのママやホステスのいわゆる「枕営業」が、顧客の配偶者に対する不 法行為にはあたらないとしたものがありました!

 

本日はこの裁判例についてお話いたします!

 

まず、裁判例の紹介です!

 

 

 

―― 不貞行為の相手方に対する慰謝料請求の可否
東京地裁平成 26 年 4 月 14 日判決
X 女〔原告〕と A 男は夫婦関係である。一方、Y 女(被告)はクラブ B の女支配人(い わゆるママ)である。クラブ B の常連であった A は、X との婚姻関係中に、7 年余りに わたり(平成 17 年 8 月~平成 24 年 12 月)、月に 1、2 回(主に土曜日に)Y 女と共に食 事を摂った後にホテルに行って夕方に別れるということを繰り返していた。それが発覚さ れた後、X は Y に対して、Y の行為によって X が甚大な精神的苦痛を被ったなどと主張し、 不法行為に基づき 400 万円の慰謝料及びその遅延損害金の支払いを求めた。それに対して、 Y は、Y と A は飽くまでクラブの「ママ」と客との関係であり、それ以上ではなく、「ママ」 という立場上、大事な客と店外でも食事や花見などの付合いをするのは当然であると主張 した。また Y は、そもそも A の不貞行為の相手方は自分ではなく別の女性であり、X の 本件請求は、XA 夫婦協力の下、A がクラブ B で遣った金員を取り戻そうとするものであ ると反論している。
【判 旨】X の請求を棄却
「仮に、本件不貞行為の存在が認められるとしても、......、クラブのママないしホス テスが顧客と性交渉を反復・継続したとしても、それが“枕営業”であると認められる 場合には、売春婦の場合と同様に、顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず、何ら 婚姻共同生活の平和を害するものではないから、そのことを知った妻が精神的苦痛を受けたとしても、当該妻に対する関係で、不法行為を構成するものではないと解するのが 相当である。」

この裁判例の問題点は、【売春婦の場合と同様に、顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず、何ら 婚姻共同生活の平和を害するものではないから】という点です。

 

いわゆる枕営業をしていたら、それは婚姻関係の平和を害するものではないと読める内容なんですよね!しかしながら、相手が受けた精神的苦痛がどうして枕営業だと被らないのか説明できないですし、不倫問題が枕営業により権利侵害とならないのか合理的ではないです!

 

なので個人的には余り気にする必要はないというのが実感です。この裁判例の事実認定が大切で、不貞があったかどうかこれがやはり重要なので、どこまで不倫があったか、核心に迫れるのかが大切であると考えます!

 

f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195225j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195204j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195236j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195228j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195206j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195210j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195222j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195232j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195214j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195218j:image
f:id:kagaribi-kotsujiko:20220605195242j:image