裁判例解説 成年に達した大学生の長男について、父は大学進学を積極的に支援していたとして未成熟子として扱い、婚姻費用に含めて判断した例

成年に達した大学生の長男について、父は大学進学を積極的に支援していたとして未成熟子として扱い、婚姻費用に含めて判断した例

 

こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士

野条です^_^

本日は、

成年に達した大学生の長男について、父は大学進学を積極的に支援していたとして未成熟子として扱い、婚姻費用に含めて判断した例

についてお話いたします。

 

◆成人になると本来養育費を支払う必要はなくなりますが、元々大学まで進学し、成人後も学費がかかることが明らかな場合には、養育費を支払う必要ないかが問題となります。


阪高裁2018(平成30)年6月21日決定では、その費用についても相応の負担をすべきであり、抗告人と相手方との収入の較差(ママ)に照らすと、抗告人がその8割ないし9割程度を負担するのが相当であるという旨を述べております。

 

常識に照らした判断ですが、男女問題というのは怖いもので、おそらくこの男性側は支払わないといいましたので問題となったのだと思います。お困りの方はかがりび綜合法律事務所までご相談ください!


[大阪高裁2018(平成30)年6月21日決定 家庭の法と裁判21号87頁]
[事実の概要]
妻から夫に対し、婚姻費用分担請求をした。長男(成年)は二浪して大学に進学している。
夫は同居中、長男及び二男の学業不振を憂慮し、長男の大学受験を支援し、二男を学習塾に通わせた。原審(神戸家裁尼崎支部)は、長男は自ら扶養料の請求をすべきとし、二男の学習塾費についての承諾がないとして、婚姻費用に含めず、月14万円の支払いを夫に命じた。夫が抗告した。
[決定の概要] 「抗告人(夫)も長男の大学進学を積極的に支援していたのであるから、婚姻費用分担額算定に当たり、長男を15歳以上の未成年の子と同等に扱うのが相当である。…抗告人は、二男に学習塾に通わせたのであるから、その費用についても相応の負担をすべきであり、抗告人と相手方との収入の較差(ママ)に照らすと、抗告人がその8割ないし9割程度を負担するのが相当である。」とし、将来分としては、月18万円の支払いを父に命じた。

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