■離婚協議書を作成するために必要な知識
ここでは、離婚協議書の作成方法などの基礎知識について解説します。
◆作成までの流れ
離婚協議書の作成を弁護士に依頼した場合、基本的には以下のような手順で進めていきます。
①弁護士に相談・依頼
②弁護士が離婚協議書案を提示
③離婚協議書案の内容が決定
④離婚協議書の内容に夫婦で合意
⑤正式な離婚協議書の作成
⑥離婚協議書に夫婦が署名・捺印
通常、離婚協議書は２通作成し、お互いに署名捺印が済んだら1通ずつ保管します。もし離婚後にトラブルが発生した場合などは、離婚協議書が証拠資料になりますので、紛失しないように注意してください。
◆記載すべき内容
ケースによっても細かく内容は異なりますが、主な記載事項としては下記の通りです。
・離婚に合意した旨
・離婚届の提出日、提出者
・慰謝料について(金額・支払い方法・支払い日など)
・養育費について(金額・支払い方法・支払い日・支払い終期など)
・財産分与について(分与する財産・金額・支払い方法・支払い日など)
・婚姻費用について(金額・支払い方法・支払い日など)
・年金分割について(按分の割合など)
・子どもの親権者の指定
・子どもとの面会交流について(頻度・時間・受け渡し方法など)
・公正証書にするかどうか
・同じ書面を2通作成して、お互いに1通ずつ保管する旨 など
離婚協議書を作成しても、記載内容が抽象的な場合、お互いに解釈違いが起きてトラブルに発展することもあります。例えば、慰謝料であれば「〇日までに○○円(振込手数料込み)を一括で〇〇口座に振り込む」など、できるだけ具体的な内容を明記することが大切です。
◆必要書類
離婚協議書の作成時に必要な書類は以下の通りです。実印・戸籍謄本・印鑑証明書などは、夫婦それぞれのものを用意しましょう。
・実印
・戸籍謄本
・印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)
・本人確認書類(免許証やパスポートなど)
・その他(財産に関する書類など)
◆作成にかかる費用
離婚協議書の作成費用としては以下の通りです。
・戸籍謄本の発行手数料：1通あたり450円
・印鑑証明書の発行手数料：1通あたり200～400円
・公証人手数料
公証人手数料とは、公正証書を作成する際に必要な費用のことです。詳しくは「離婚協議書を作成する際の注意点」で後述します。
■離婚協議書を作成する際の注意点
離婚協議書を作成する際は、以下のポイントに注意しましょう。
◆離婚協議書は公正証書にする
公正証書とは、公証人が双方の合意内容を聞き取って書面化した公文書のことです。離婚協議書を公証役場に持参すれば公正証書にしてもらうことができ、申込み手続きが完了すれば正本や謄本が交付され、原本は公証役場にて原則20年間保管されます。
離婚協議書を公正証書にした場合、通常の離婚協議書よりも強い効力が生じるというのがメリットです。具体的には、相手が金銭の支払いを怠った場合、速やかに回収できるようになります。
通常の離婚協議書には法的な強制力がありません。そのため、相手が合意内容通りに慰謝料や養育費などを支払う気がなければ、裁判を起こして判決を待ってから強制執行へと移ります。強制執行とは、給料や預貯金などを強制的に差し押さえる手続きのことです。
一方、離婚協議書を公正証書にしていれば、訴訟手続きを踏まずに直ちに強制執行手続きへと移ることができます。
なお、公正証書にするためには手数料が発生しますので、詳しい料金は以下の表をご覧ください。
目的の価額(慰謝料や養育費など) 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 1万1,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万7,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 2万3,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 2万9,000円
5,000万円を超え１億円以下 4万3,000円
１億円を超え３億円以下 4万3,000円に、5,000万円までごとに1万3,000円を加算
３億円を超え10億円以下 9万5,000円に、5,000万円までごとに1万1,000円を加算
10億円を超える場合 24万9,000円に、5,000万円までごとに8,000円を加算
【参考】10 手数料｜日本公証人連合会
◆離婚届を提出する前に作成する
離婚協議書を作成するタイミングは自由ですが、基本的には離婚届が受理される前に作成することをおすすめします！
