弁護士インタビュー

ー 相談者や依頼者の方と接するうえで、心がけていることをお聞かせください。 その方の目線に立って、どのようなことに悩み、何に重きを置きたいのかを一緒に考えることです。1人1人のニーズを汲み取ることをとても大切にしています。 悩みは千差万別です。たとえば離婚であれば、「別居をしたいけれど、どのように進めればいいのか教えてほしい」「離婚することを、子ども達にどう説明したらいいだろう」「引越しの準備の仕方がわからない」というように、皆さん、様々な悩みを抱えています。 法律とは直接関係のない悩みも少なくないですが、相談者の方自身は、その悩みを解決することにこだわりを持っていらっしゃることもあります。 相談者の方からお話を聞くときに、弁護士としては、法律の話に意識が向きがちです。たとえば離婚であれば、慰謝料請求や財産分与、養育費の金額などです。もちろん、相談者の方の生活に直結する大事な話ですが、相談者の方自身のニーズは、法律とは直接関係のない部分にあることも少なくありません。 相談者の方は、あらゆる悩みや思いを抱えて、法律事務所に足を運んでくださっています。その方にとって最善の解決方法を探るために、これまでどんな出来事があったのか、どれだけ辛い思いをしてきたのかを、できるだけ詳しくお聞きすることは、とても重要だと思います。たとえ法律とは直接関係のない話が出てきても「それは本題から外れるので結構です」などと打ち切るようなことは決してしません。 弁護士は、トラブル解決を図るプロフェッショナルであるとともに、カウンセラーとしての役割も求められるのではないかと思っています。相談者や依頼者の方の不安を少しでも解消できるよりよい方法を探るために、カウンセリングの本を何冊も読みました。これから事務所に新しく入る予定の弁護士も、認定心理士の資格を取得しています。 ー 重い内容のご相談も多いかと思いますが、ご自身が辛い気持ちになることはありませんか。 あまりないですね。相談者の方は、話を聞いている私より何倍も辛い思いをされています。辛い思いをされてきた方のお話を聞いて、トラブル解決の道筋を探っていくことは、膠着状態から一歩前進していることに他なりません。解決に向けて、相談者や依頼者の方のお気持ちを楽にさせるサポートができていることに、弁護士としてのやりがいを感じています。