婚姻関係破綻の抗弁について

 

こんにちは!

 

かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!

 

本日は婚姻関係の破綻の抗弁についてです。

このブログでも何度か解説している論点ですが、この論点を持ち出す弁護士さんも多いので、この論点を持ち出す意味についてお話いたします。

 

意味といっても反論の一材料ですから例えばこの論点を出す側としては、慰謝料を支払う義務がない、もしくは慰謝料の金額を下げようとする方が多いかと思います。これに対し、これに反論する側、破綻していない側は慰謝料を下げられる謂れはないということになります。

 

まあ、ここまでありきたりなお話になりますが、この婚姻関係破綻の抗弁について激論すると、なかなかお互いエキサイトしてまとまるところもまとまらなくなることがあるということになります。

 

まず、破綻の事実をお互い主張しますが、いつの時点に婚姻が破綻したのかを認定することは、実際にはかなり困難な間題です。不倫の相手方に夫婦関係は破綻していたとか、非常に冷却していたとかいう話をされると当然に感情的になりやすくなります。

 

 

また、有責行為と婚姻破綻との間の因果関係の立証にあたっては、婚破綻の時点や決定的な有責行為が特定できない事案においては、夫婦の日常生活の細かな言辞や行為の積み重ねによって因果関係を立証しなければならなくなり、結果的に当事者の紛争を激化させかねないことになると裁判例の解説でも記載がなされているところです。

 

判例として最判昭27・2. 19民集6巻2号110頁や最大判昭62・9.2民集41巻6号1423頁があります。

 

もっといえば、不貞が先か婚姻関係が先かという議論もあります。つまり仮に婚姻関係の破綻があるとしても、その破綻の前に不貞があれば慰謝料は請求できるということになりますが、具体的に不貞がいつあったのか、婚姻関係の破綻がいつあったのか特定するのは別居とかわかりやすいものがあればまだしもそうでなければなかなか難しいものがあります。

 

 

婚姻関係破綻の抗弁にはこういう議論が背景にあるということを抑えていれば交渉での落とし所を探るときには実は活躍したりするのですが、詳しくはご相談の際にきいてみてください。

 

何卒宜しくお願いします!

 

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